ウェス・アンダーソン初見
雪山の中のホテルで起こる逃走劇ということでシャイニングを想起させる。一点透視図法的な構図も似ている。あれは明らかにパノプティコンを意識した構図だったがこちらも監獄に収容されているし。
後半になると対称的な構図からの逸脱が見られるようになってくるが、それはホテルとコンシェルジュの余裕のなさというか統制の取れなさを表しているようにも思えた。とはいえ、対称的でなくても、西洋絵画的な枠の中に収めるような構図が多いので、映画というよりも紙芝居を見ているような気分になってくる。だがこの物語は作家の書いた説話形式の物語なので、そのスタイルはハマっているように思える。気づかなかったけど、アスペクト比も変わってたんですね。
物語としては、古き良き時代の幻想を守るコンシェルジュの話なのだから、もう少しベルエポック的なエピソードを入れたらいいのかなと思った。途中からただの逃走劇になってしまっていて、豪勢なホテルを用意したのに芳醇な雰囲気があまり感じられなかった。