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グランド・ブダペスト・ホテルのkaz666のレビュー・感想・評価

3.7
''視覚''という概念において、ここまで新たな可能性を見せつけてくれるとは。ウェスアンダーソン最新作、劇場にて鑑賞。
みんなはどうか知らないが、ウェスアンダーソンは新たな作品を出す度に新たな感動をさせてくれる。視覚的なビジュアル部分に関しては。
とある会話シーンでは、お互いが向き合わず、同じ方向を向きながら会話をする。
その上、相場、会話するにおける距離感をあまりにも無視した距離で会話し、これは映画のたったワンカットのデザイニングだけのために構築された演出なのであろうと。こちらの遠近法もそうなのだが、造形のシンメトリー感、エレベーター内の空虚さ、ホテルの踊り場に儲けられた温泉、真っ赤な個室に、青い衣装の人間との対比的グラデーション。
どれもこれも、おっ!こう来たか!と息を飲むデザインであった。
対話における、軽快さと端的な部分での使い方が非常に心地よくて、村上春樹作品でときおり見せる、心地よい気持ち悪さ、によく似ている気がする。
作品全体の、こだわりである小技の使い方、どこから何が出てくるかわからないドキドキ感はキューブリッ
クを初めて見たときのドキドキ感に似ているし、ガキの頃に初めてテーマパークに訪れたときの高揚感に似ている。
劇場で鑑賞したから、そう思えたのかも知れないがスクリーンが大きなキャンバスで、誰かぼくらでは見えない何かが、ひとつひとつ色を施していき、
最後に魔法のスパイスをかけたような
ノスタルジックかつ、まろやかな気持ちにさせてくれる。
あと、内容には一切触れていないが、ウェスアンダーソン作品は、毎回隠れミッキーを探すような感覚になり、視覚的な部分を重視して見てしまい、内容があんまりはいってこなかったが、ウィレムデフォーがめっちゃかっこ良かった。
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