豚

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーの豚のレビュー・感想・評価

3.7
銀河を舞台に、オーブを巡ってさまざまな勢力が入り乱れるスーパーヒーローアクション。
MCU系列の作品ではあるけれど、映画単体として非常に質が高く、またコメディ感満載の本編からは想像つかない意外と懐の広い作品。
主人公たちチームが、何かを失い何かに負けてきたバックボーンを持つキャラクターたち、という共通項を持ちながら、そもそもの「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」という作品がマーベルにおいても同等の立ち位置である、という二重構造が抜群に素晴らしい。

とりあえずシリアスに、とりあえず重苦しくしておけばOK、という風潮が蔓延している昨今のスーパーヒーロー映画において、清々しいほどのカウンターとして本作が現れたことで、その後のスーパーヒーロー映画の流れも変わるんじゃないのかな、と感じる(事実「ドクター・ストレンジ」も結構正攻法の作りではなかったし)。
何というか、幼いころにアニメを見ていたころのワクワク感だったり、アレコレ考えず純粋に少年漫画を楽しんでいた当時の気持ちを思い出させてくれる。

キャラクターが矢継ぎ早に登場し、かつテンポ良くストーリーが進むので混乱しそうになるけれど、話自体は意外とシンプル。
いがみ合っていたキャラクターが徐々に"仲間"としての絆を確立し、強大な敵に立ち向かうという、王道中の王道、ともすれば陳腐なテーマ性ではある。
けれど、キャラの立ちまくった登場人物たちや多様に仕掛けられた外しの笑い、色彩豊かな背景の美しさといった部分で、ダサさを絶妙に感じさせないバランス感覚とセンスに溢れた作品。
何よりタイトルの出し方がめちゃくちゃセンス良くて驚いた。
「ラ・ラ・ランド」か。

主人公スターロード筆頭にどのキャラクターも魅力満載で、そんな彼らが衝突し合いながらも少しずつ仲間ということを意識していく……という展開は非常に胸が熱くなりました。
ド派手なアクションで殴り合って勝つことだけがヒーローの手段ではない、とでも言っているかのようなラストバトル、ある種ベタではあるのですが猛烈に感動しました。
いわゆる純然たるスーパーヒーローものとは毛色が違いますが、描かれているテーマは間違いなくそれらと共通する価値観があると思います。
この作品の物語は、「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」だからこそできた内容で、キャラクターをアイアンマンだったりマイティ・ソーだったりに置き換えたとしても、絶対にピースとしてハマることはないだろうなとぼんやり感じました。

エンドロールのグルートが可愛すぎてもう……。
I AM GROOT!!
豚