らいち

ミケランジェロ・プロジェクトのらいちのレビュー・感想・評価

2.5
新作DVDレンタルにて。
第二次世界大戦末期、ナチスによって奪われたヨーロッパの美術品を奪還するアメリカの中年男子チームの活躍を描く。実話をベースにした映画。美術に造詣の深かったヒトラーが名だたる美術品の数々を占領地から巻き上げ、自身のための博物館に所蔵しようとしていた事実に驚く。ユダヤ人の命よりも美術品を大切にしていたということ。但し、その扱いは極めて雑で、ヒトラーが人格欠陥者であった一端が垣間見れる。映画は美術品の「奪還」というより「宝探し」に近いもので、ナチスが隠した美術品を見つけ出す様子が描かれる。歴史と文化の結晶である美術品は命をかけてでも守る価値がある!というメッセージは響いたものの、映画自体は意外なほど退屈でつまらない。当時の再現VTR、あるいは有名俳優たちの仮装劇といったところか。ノー天気な音楽の使い方含め、全体的にライトな語り口なのだが、内容は人命のかかったシリアスなもの。彼らの作戦におけるリスクや深刻さが一向に伝わらない。また、観たところ「友情」が感動ポイントになっているみたいだが、この仕上がりで観客の共感を呼ぼうとするのは強引だ。豪華キャストの無駄使いも目に余り、ケイト・ブランシェットにフランス女性を演じさせるのは見当違いでは?主要キャラたちはそれぞれ得意分野があるにも関わらず、そのプロットを全く活かしていないのも気になる。
監督は本作で3作目となるジョージ・クルーニーだ。劇中の「地雷」シーンのようにクサい演出が際立ってしまった。
【55点】
らいち

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