ナツミオ

ミケランジェロ・プロジェクトのナツミオのレビュー・感想・評価

3.8
WOWOW録画鑑賞
2回目の鑑賞

第二次世界大戦中、ナチスドイツに略奪された美術品や文化財の奪還に奔走する連合国軍の特殊部隊“The Monument Men”の活躍を描く史実に基づく人間ドラマ。

2013年米作品
監督・脚本・製作・出演 ジョージ・クルーニー
脚本(共同)グランド・ヘスロブ
出演 マット・デイモン ビル・マーレイ ジョン・グッドマン ケイト・ブランシェット

第二次世界大戦中盤の1943年。
ヨーロッパ大陸を占領中のナチスドイツは占領国の美術・芸術品・文化財の略奪、破壊を行い略奪品はナチス高官へ贈られたり、計画中の「総統美術館」に展示するためドイツ国内に運び込まれていた。

アメリカ、ハーバード大学付属美術館の館長フランク・ストークス(クルーニー)は、貴重な文化財が失われ後世に伝えられないとルーズベルト大統領に訴える。
若者達は戦争へ出征しておりストークスを責任者として美術品救出の命を下す。

1944年3月全米各地を回って美術品専門家の少数精鋭部隊「モニュメント・メン」が結成される。
そうして6月に大陸侵攻作戦「ノルマンディ上陸作戦」が開始された1ヶ月後、モニュメント・メン達はフランスに上陸。
彼らは如何にして奪われた美術品を探し出しナチスの元から取り返すのか⁈

広いヨーロッパ戦線を別れて捜索するメンバー達。
メンバーのジェームズ・グレンジャー(デイモン)は伝手を頼りにパリに向かう。
他のメンバー達は捕虜から得た情報から最前線のある東へ向かうが・・・

史実に基づいた物語ではあるが、クルーニー曰く80%が実話。

豪華な俳優陣と実話ということで引き込まれて観た。
ナチスが何処に美術品を隠しているのか徐々に明らかになるが、同じ連合国軍のソ連も美術品の存在を知り捜索部隊が動いている。
またナチスはヒトラーが亡くなった場合、全ての芸術品の破壊を命じた『ネロ指令』を命じていた!

途中、戦史で有名なバルジの戦いや、レマーゲン鉄橋も登場。




以下ネタバレ含む

好きなシーン・良かったシーン。
フランスの美術館員クレール・シモーヌ(ブランシェット)は最初グレンジャーを信用せず連合軍が取り返した美術品を元の所有者に返さないと思っていたが、モニュメント・メンの活躍を知り、グレンジャーと打ち解け、彼が移動する前夜に2人でパーティをするロマンティックな場面。
彼女が大切にしていた美術品の行方を書いた資料を託す所。
シモーヌにお泊りを誘われるが、断って帰るグレンジャーを見つめるシモーヌの表情。

1944年12月バルジの戦い
キャンベル(マーレイ)、サヴィッツ(ボブ・バラバン)組みがクリスマスに着いた野戦病院のある宿営地でのエピソード。
家族からの郵便物が届き、サヴィッツは食品ばかり。キャンベルは娘や孫たちからのメッセージが入ったレコード。
「蓄音機を探さないとな」
シャワーを浴びるキャンベルに、聞き慣れた孫たちの声と娘の歌声が宿営地に響きわたる。
サヴィッツがレコードを密かに交換し放送で流してくれた。

娘がアカペラで歌うクリスマスソングのスタンダード曲『Have yourself a merry little christmas』が沁みる。
クリスマスソングで一番好きな曲。

野戦病院へ運び込まれた瀕死の兵士、軍医、衛生兵、その他の兵士達にも等しく曲が行き渡る戦場のクリスマス。

美術品以外に山の様な金塊や金品の中で見つけた大量の金歯の衝撃!

美術館や教会などに現存する芸術作品が今日でも私たちが鑑賞できるのは、この様な陰の努力があったからと記憶に刻みたい作品です。
ナツミオ

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