130人超の患者を安楽死させた医師、ジャック・ケヴォーキアンの伝記映画。
アル・パチーノの憑依っぷりが凄い。あれだけ名の知れた俳優なのに、途中からケヴォーキアン本人に見えてくる。
ただ本作はケヴォーキアンを美化しすぎていると思う。
作中ではケヴォーキアンの動機は「患者の苦痛を取り除きたい」という使命感によるもの、と描かれている。
しかし彼の絵画作品からも分かるように、彼を突き動かすものは死という現象に対する異常なまでの探究心だと思われる。
ケヴォーキアンのサイコ描写がもっとあれば尚良かった。
個人的には尊厳死には賛成だが、積極的安楽死は反対。
患者本人の意思を尊重するといえば聞こえはいいが、極限状態で正常な判断を下すのは自分自身の身体のことといえど困難。嘱託殺人・優生思想の温床になる危険性もある。
それにしても、「寿命は神が決めるもの!」と宣う安楽死反対派の人たちは医療行為も拒否するのかな?