かたゆき

セリーナ 炎の女のかたゆきのレビュー・感想・評価

セリーナ 炎の女(2014年製作の映画)
3.0
1929年、アメリカ北部の荒涼とした山岳地帯。
父親から譲り受けた広大な土地で材木業を営むジョージ・ペンバートンは、次々に巻き起こるトラブルとうまくいかない資金繰りに奔走していた。
そんな折、ボストンまでの出張に出かけた彼は、そこで若く美しい女性と恋に落ちる。
相手の名は、セリーナ。
幼いころ火事で家族を失い、以来天涯孤独の人生を送ってきたという。
そのミステリアスな美しさと力強い眼差しに心惹かれたジョージはその日のうちに求婚し、彼女を妻として地元へと連れ帰ってくるのだった。
以来二人は熱情と愛欲に満ちた、幸せな毎日を謳歌する。
だが、そんな満ち足りた日々も長くは続かなかった――。
土地が国立公園の予定地と重なったことで伐採所の買収話が持ち上がり、その過程で彼の地方議員への贈賄疑惑が持ち上がったのだ。
このままでは土地を奪われるばかりか、刑務所にぶち込まれセリーナとの幸せな日々さえも失ってしまう。
悩んだ末に、ジョージはとある決断を下すのだが…。
アメリカの雄大な山岳地帯を舞台に、ただ幸せになりたいと願った一組の情熱的な夫婦の愛と葛藤の日々を美しい映像で綴ったラブ・ロマンス。

ジェニファー・ローレンスとブラットリー・クーパーという今ノリにノッている人気者二人が夫婦役を演じたということで今回鑑賞してみました。
なかなか丁寧に作り込まれた脚本の力と円熟味を増した主演俳優たちの魅力とで最後まで興味深く観ることが出来ました。
彼ら以外にも、個性豊かな脇役たち――ジョージの子供を身籠っていると思しき貧しい女性や得体の知れない凄みを感じさせる元犯罪者の作業員、粘着質な目で二人を追う土地買収業者等、誰もがきらりと光る達者な仕事を披露してくれています。
なかなか見応えのあるメロドラマの秀作に仕上がっていたと言っていいでしょう。

ただ、残念だったのは後半の展開。
それまで土地買収を巡るやり取りで充分緊迫感を煽っていたのに、前半でそれをいったん終わらてしまったせいで、そこからお話の密度が若干薄まってしまったように感じてしまいました。
前半の緊張感を最後まで保っていればもっと完成度の高い傑作になっていたかも知れませんね。
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