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アデル、ブルーは熱い色のfuiのネタバレレビュー・内容・結末

アデル、ブルーは熱い色(2013年製作の映画)
4.9

このレビューはネタバレを含みます

ドキュメンタリー見てるのかと思う位自然
何回観ても新しい発見がありそう
カットなしのバージョンいつか観たいな

テレビに釘付けで会話の無いアデル一家。
空いた腹の隙間を埋める様に貪る静かな食卓 
変わったものより安定のボロネーゼをおかわりしてお腹いっぱい食べたい。
エマの家は、愛に乾杯し、顔と顔を合わせて食べる。生牡蠣にレモンを絞って生きたまま味わう 何も包み隠さず踏み込んだ事も真っ直ぐ話す

何を、どんな風に食べるか 食事の環境にはその家庭の色が、価値観がこんなにも表れるものなのかと凄くハッとさせられた 食べる事は生きる事 生き様が見える そう考えて自分を振り返ると物凄く納得できる、、

エマはずっと素直で真っ直ぐで、自分が好きな事を追い求めて生きてる サルトルの実存主義をそのままなぞらえたみたいに
アデルはつかなくてもいい嘘を咄嗟にについてしまう 世間的を気にして、自分の気持ちより周りにどう思われるかを常に気にしてる 本当は自分がどうしたいのか、きっと自分でも分かってない 

大喧嘩のシーン、エマはアデルが本当に愛してるのは自分だって当たり前に分かってたけど、だからこそ、何で寂しいからって他で妥協するのか、アデルのそういう所が全てのすれ違いの根本で、もうどうにも止められなかったんだろうな そんな妥協した生き方見てられない、もっと真っ直ぐ生きろよって   

根本的に2人は育ってきた世界が、培ってきたものが、蓄えてきた栄養が違った だから関係が深くなるにつれてどんどん剥がれる様に2人はすれ違っていてしまう 
親に今まで散々、安定を望まれてきた人と、自分らしく本当に好きな事をして生きなさいと言われてきた人とでは、価値観が違う風に育って当たり前か
その人が育ってきた環境で全て決まる訳では無いけど、(兄弟でも真反対な性格になったりするから)物凄く大きな影響を与えることは確実で、2人の価値観のすれ違いは誰が悪い訳でも無いからとてつもなくやるせない気持ちになる

透き通る様なブルーの海に、悲しみに暮れたアデルが浮かぶシーンが目に焼き付いてます...
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