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アデル、ブルーは熱い色のぽーのレビュー・感想・評価

アデル、ブルーは熱い色(2013年製作の映画)
5.0
レズビアンの物語じゃない。ただただ美しい恋愛が丁寧に、激しく描きこまれた作品。
男と女だろうと、女同士だろうと、相手を求める気持ちや失うかもしれないと嫉妬する感情は同じ。
人間の三大欲求 食欲、睡眠欲、性欲を見事に生々しく提示している。
とりわけ映画冒頭での、アデルの動物らしさ満点の食べ方や性器の象徴として頻用される口もとをだらしなくあけて眠る様子には、多くの観客が固唾をのんだに違いない。

そして何より、レア•セドゥ演じるエマの、片方の口角あげてアデルの顔中を誘うようにじっと見つめる様が本当に素敵で、こんな人なら女同士とか関係なく愛せずにいられるはすがない、てくらい魅了する演技。

本作では題名通り、青が印象的に使われている。
出会ったころのエマの髪とアデルのセーター。
別れた後 エマを思って海に体を漂わせるアデル。
こらえきれずエマに会いに行くときのアデルのワンピース。
アデルを描いたエマの絵画に表された青。
熱情がぶつかり合い、別れ、求める者と封じ込める者。
愛し合う様を見つめてきた鑑賞者は、二人の互いの揺れ動く気持ちを目の当たりにし、息苦しくなるくらい辛くなる。

2014年の大傑作確定。
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