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アデル、ブルーは熱い色のmmkのレビュー・感想・評価

アデル、ブルーは熱い色(2013年製作の映画)
4.0
好みはさておき、あらゆる要素が絡まり非常に完成度の高い映画になっている。

主演の二人に寄るところがかなりある。エマのシャープな眼差しに驚くほど似合うブルーのショートヘア。隙が無いほど完成度の高い、ある意味非現実的で生活感を感じさせない存在感。
そこに隙ありまくりでなんと言うか色々ダダ漏れというか垂れ流しっぱなしになっちゃってるアデル。わかるわかる、高校生ってそんなもんなんですよ。そこがすごくリアルに感じられて、且つエマとの深い結びつきを経験して少し変わったけど自分の根本のダダ漏れな部分は決して変わらないのがとてもリアリティがあってすごく良かった。人間そんなもんなんですよね。

セクシャルマイノリティである点以外はどこにでもある普遍的な恋の話。深くて激しい。話題となったラブシーンはレンタル版には収録されておらず、まぁ無くても物語上は差し支えありません。ただ、あの有無によって彼女達の深い結びつきへの理解の深さは変わるかなと思います。(私はレンタル版で観て、ただ単純に好奇心で例のシーンを観てみたかったのでi Tunes storeでレンタルダウンロードしました。)

個人的に気に入ったのはあまりBGMが多用されてなく、聞こえてくる生活音のおかげでより生々しさを以って作品がストンと私の中に入ってきました。やたらおしゃれな音楽を多用している映画にちょっと飽きていた感があったので。あと、フランスの生活感や高校の雰囲気が伝わってくるのもすごく良い。

本当に純粋な恋愛感情を、ひとつのカップルが始まって終わっていく姿を見せてもらったように思います。セクシャルマイノリティに対する考え方が多少なりとも変わったような気がする。
またはどこにでもいる文学少女がブルーの女神に出会って自らに目覚めていき、新たな自分に出会うイニシエーションとしても捉えられるかもしれない。
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