スーパーエイプマン

なみのこえ 気仙沼のスーパーエイプマンのレビュー・感想・評価

なみのこえ 気仙沼(2013年製作の映画)
-
ここにおさめられているのは、教訓や道徳などとは無縁の、市井の人びとたちによる単なる会話。なのだが、それをただ受け止めることの出来るドキュメンタリーがどれだけあろうか。
なので、どれもこう言っては何だが、おもしろい。特に、誰もが言及したくなる最後の新婚夫婦。これまでの、自己の体験を淀みなく語っていた人々(それは既知の者を対面に座らして相互に語らせる手法によるものが大きいのだろう)が嘘のように会話が続かない。
「俺と会った時どう思った?」「…生きてて良かったと思った」「……それだけ?」というところ、微笑ましくて笑ってしまった。笑うような話でもないのに、なんなんだろうか。

佐々木康之による、インタビューの合間に挿入されるワイズマン作品のようなフィックスの情景描写ショットもすばらしい。