Siegward

魔女の宅急便のSiegwardのレビュー・感想・評価

魔女の宅急便(2014年製作の映画)
2.4
むむむ。ジブリ版と比較しなくともイマイチ。
魔法使いモノだと、実写版『ハリーポッター』が良作の基準なのでなあ。

ファンタジーの実写化は、美術や視覚効果で魅力的な異世界を構築することが成功の大前提であり、本作はまずそこに失敗している。コメディなどの例外を除き、自分の場合はここで既に評点3以下となります。なぜならその時点で見る気なくすので。

合成感丸出しの飛行シーンと平凡な田舎の漁村の空撮でワクワクするはずもなく、映像がとかく安っぽいのが最大の問題。例えば白川郷でロケするなりフルCGで街並みを作るなりしないと、「うわー、いいなあ!」と観客が心惹かれるような画の説得力は生まれにくい。胸を躍らすステキな予感の代わりに、暗雲の立ち込める不吉な予兆を開始10分で感じずにはいられない。

物語の方はといえば、中盤以降の唐突な展開が微妙。閉鎖的な村社会の風評被害の怖さは分かるけど、大きな事件もないのに心変わりが早過ぎで、村人たちがただのクズに見えてしまうのはいかがなものか。君らついさっきまで頼りにしてたやんけ。それ以外も色々と急で、登場人物の情緒不安定さが目立つ。

一方、明るく快活な小芝風花をキキ、妖しい雰囲気のある宮沢りえを魔女の母親とするなど、根本的に日本人じゃ合わないとは思うが、キャスティングセンス自体は良い。さらに、懐かしの新井浩文、尾野真千子、吉田羊、浅野忠信などの実力者で脇を固めており、演技面の問題は少ない。

また、主人公の衣装も上手いことアレンジされており、コスプレっぽさがなくきちんと似合っている。エスニック雑貨の店主感は否めないものの、母親の方も決して悪くない。全体的に衣装担当の頑張りが光る。

とはいえ、実写のファンタジーは役者で挽回できるものじゃないので、配役が良くてもどうにもならない。結局は映像なのだ。資金や技術不足を俳優の頑張りで何とかするプランなら、舞台でやった方が成功し易いと思われる。

おススメはしませんが、映像のチープさと展開が雑な脚本に耐えれるなら鑑賞するも一興かと。とんぼの鳥人間コンテスト感や終盤の箒飛行によるパワープレイなんかが見所。
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