志ん魚

嗤う分身の志ん魚のレビュー・感想・評価

嗤う分身(2013年製作の映画)
4.2
「分身」がテーマの非常にユニークな不条理ドラマ。ドストエフスキーが下敷きだがとてもカフカ的。プロダクション・デザインやコントラストの強いライティングがつい最近観直したばかりの『未来世紀ブラジル』を思わせる。共産主義的な悪夢あるいは世紀末的なディストピア。加えて「その他大勢」が年寄りばかりというのもまた新しいディストピア像なのかもしれない。またあまりに強烈すぎて何も触れずにスルーしてやろうかと思ったのが選曲。あの奇妙な世界観に「上を向いて歩こう」や「ブルーシャトー」などの昭和の日本歌謡がバンバンかかるのだが、違和感どころかこれが意外にマッチしているから可笑しい。それと個人的にツボだったのは衣装。ジェシー・アイゼンバーグのスーツの変なサイズ感が最高。これほど切ないスーツがかつてあっただろうか。衣装デザイン部門の年間ベストほぼ決まりww ところでこの共演がきっかけで付き合い始めて至る所でパパラッチされまくっていたジェシー・アイゼンバーグとミア・ワシコウスカはまだイチャイチャしているのだろうか。すごくお似合いのカップルなので長続きして欲しいものだ。しかしミアか選ぶ出演作は面白いモノばかりだねぇ。クローネンバーグの新作『Map to the Stars』も楽しみ。
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