らいち

馬々と人間たちのらいちのレビュー・感想・評価

馬々と人間たち(2013年製作の映画)
3.5
新作DVDレンタルにて。
映画は知られざる価値観をもった文化、風土を伝えてくれる、と、改めて感じさせる。明らかなフィクションだけれど、本作の根底にあるものはアイスランドという馴染みのない地で古くから培われてきた人間と馬の関係性だ。それは、安直に想起しやすい「人間と馬との絆」といったものではない。「人間のエゴにつき合わされる馬たち」という見方が近いかも。広大な緑の大地にポツンと馬と人間が佇み、流れる空気はとても穏やかだ。少数の村社会にある人間たちの悲喜と、その傍らにいる馬たちの姿を独特なリズムで活写する。人間たちの馬への愛は事実だが、馬はあくまで使役の道具であり、馬たちも人間たちの想いを理解しているようには見えない。でも、それがこの土地の正解なのだと思う。人間の意志と馬の意志が合致しない隙間は、絶好のユーモアの機会になる。シュールさを湛えるそのユーモアは、時に衝撃的だったり、ストレートに笑えなかったりと、何とも形容しがたい。だけども不思議と退屈しない。。。最後に「この映画の製作に、馬は傷つけていません」でホッとする。
【65点】
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