洋梨

レッド・ファミリーの洋梨のレビュー・感想・評価

レッド・ファミリー(2013年製作の映画)
3.7
コメディを期待して見に行くと痛い目に会う映画。
家族に扮して南に潜伏する北工作員と隣家の庶民家族との交流を軸に話が展開。
本当の家族を北に人質に取られたまま任務遂行だけを目的に擬似家族を装う工作員たち。隣家の家族は、おそらく会社で絞られまくっている薄給の夫と浪費癖の妻それに嫌気が差している気弱な息子。これが資本家に搾取され不必要な消費を繰り返し何の理念もなく諍いばかり起こす堕落した家族、のように工作員には見える。
だが崇高な理想や理念の一片もない見苦しい隣家の諍いは、遠慮会釈なく欲求をぶつけ合っても許される血の通った本物の家族の証でもあった。この極めて低次元の諍いが物語のキーになる。いかにも浪費ばかりしていそうな妻役カン・ウンジンの存在感が効いている。
中盤、工作員擬似家族と隣家の家族の食事の席で、ニュースを見ながら北の体制を巡って一寸した論争になる。大人達はそれぞれの体制が植えつけた常識に縛られ対立したまま折り合えないが、子供達は期せずして意見が一致する。現在しか見ていない大人達と将来に希望を見出そうとする子供達。南北の若者達が繋がって韓半島の未来を変えてほしいというキム・ギドクの意思が見て取れる。これがラストにつながっていく。
設定が設定だけに起承転結の転の部分の強引さが否めないものの、将来に希望を託す結びになっている。
金属工として潜伏している上官に入れ揚げるエロおばさん(パク・ミョンシン?)が個人的にツボでした。
洋梨

洋梨