kensyo

インセプションのkensyoのレビュー・感想・評価

インセプション(2010年製作の映画)
3.5
アクションの迫力とシーンの魅力に振り切った作品。
世界観とかストーリーとかは、一見緻密そうに見えるけど、実際は「細かいことはいいんだよ!」って全部無視して映像の力押しでシンプルなアクション映画にまとめてる。

「ここも、ここも、ここもCG無しなの!?」っていう撮影のこだわりを知るとさらに楽しめるし、4DXにめちゃマッチする!
多分、リバイバルで4DXにするタイトルとしては1番くらいに向いていると思う。体験に身を任せてすごく楽しめる。

ただ、そういう付加部分を除いて作品だけを観ると、世界観も設定もストーリーもラストも、正直に言えば随分雑だと感じる。

多重化した世界を並行して見せることで出している複雑さが売りになっているけれど、その特徴的な「多重化した世界」とか、テーマになっている「夢から醒める/醒めない」とかの設定も描写も扱いも、随分と粗雑な御都合主義だと思う。
劇中明言されている設定が重要なシーンで度々無視されるので「緻密なお話だ」と思って観ていると混乱してしまう。

ラストも「ここまで緊張感を高めたんですよ!」って二時間半かけて煽った分に相当するかというとそこまでではなくて、良くある「余韻のあるラストでしょ?」っていう型をなぞっただけだと感じるのでカタルシスはなかった。

と書いてしまうと「面白くない」と言ってるみたいだけれど、そんなことはなくて面白いとは思う。

ただ、一般に世界観の緻密さとかストーリーの深さとかに対する好意的な感想を多く目にしてしまって、自分の受け取り方とは随分齟齬があるなと思って戸惑う。

最初の公開時と4DXのリバイバルと、2度劇場で観たけれど、世界観・ストーリー・ラストに対する感想は変わらなかったな。

同じような時期、似たようなテーマで、同じディカプリオ主演の映画にマーティン・スコセッシ監督の「シャッターアイランド」があるけれど、個人的には、世界観や描写やストーリーの緻密さはこっちの方が断然オススメ!(反面、「シャッターアイランド」は「インセプション」みたいに胸のすくようなアクションはないけれど…でもちょっとはあります…アクション…)
kensyo

kensyo