かつを(@katsuwow)

ルートヴィヒのかつを(@katsuwow)のネタバレレビュー・内容・結末

ルートヴィヒ(2012年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

黄金町ジャック&ベティにて

宝塚の花組の「ルートヴィヒⅡ世」そして全組だけでなく東宝ミュージカルでもお馴染みの「エリザベート」。良く観た作品だけに、この映画の登場人物がそれらにも出てくる(背景的に当然ですが)と、思わず興味がそそられるものですね。ただでさえ世界史が苦手なのですが、今回は割とすっと歴史物を見ることができました。

ルートヴィヒについてwikiで調べると肖像画が見られますが、若い時と晩年のものを今回の映画のそれと比較すると、実に雰囲気がそっくりな俳優さんを使っているなぁと感心しました。映画の中で晩年はかなり太っているので、若い時の華奢な人(をあれだけ太らすのは地獄だろうなと思ってましたが、映画では2人で演じています。

歌劇、特にワーグナーを崇拝していたバイエルンの皇太子ルートヴィヒは、父の急逝により18歳で王に即位する。彼は戦争よりも芸術、芸術こそが国民を安全に導くと芸術、ワーグナーに傾倒し、浪費の挙句国を傾け、夢の果てに消える…というもの。

作品中に出てくる城の構築の場面、贅沢の数々、狂王と言われるルートヴィヒですが正直「よくここまで金も気力もつぎ込めるな」と感心してしまいました。宮殿や教会も装飾の規模がケタ違い過ぎて…。それらを観てて目の保養になりましたね。

また人間ルートヴィヒとして観た時に、国王としてこうあらねばならないという意識があるからこそ、追い込まれ、意識を解放するために芸術に溺れたというようで気の毒です。結果的に婚約破棄をして、エリザベートにも見限られ、弟も狂ってしまって…そんな彼が心を許せる人が男性だったからといって、どうして責められるかと思いました。

最後は嵌められた説があるようですが、少なくとも彼がワーグナーを愛し、芸術を愛でたことで、音楽は残り、後世観光地として著名な数々の城を遺すことはできたのでは…?。

彼が今生きていたら、今だからかこそ芸術の大切さを訴えるのでは無いかと思った映画でした。ワーグナー、ちゃんと聴いてみたいな。