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ホドロフスキーのDUNEのアのレビュー・感想・評価

ホドロフスキーのDUNE(2013年製作の映画)
4.9
アデルブルーを昨年作品だとすると、ダントツ今年一位。去年TIFF上映時にはコア向けかな、と思い、予告編では「ドキュメンタリーのくせして『あなたに勇気を与える映画』ってんなバカな…」と思っていた自分がバカでした。こんなに笑い、勇気と元気をもらったドキュメンタリーはなかった。
『DUNE』がいかに優秀かつ面白い俳優・スタッフ陣で構想されていたか、そしてそれがなぜ頓挫したか。大人の事情ってそんなものなの?面白いから作るってんじゃダメなの?と苛立ちと疑問を覚えると同時に、そんなの関係ねぇ!とばかりにどんどん進めるホドロフスキーに圧倒&興奮。そして何より、結局実現しなかった『DUNE』についてほんっとに楽しそうに満面の笑みで語る85歳のホド爺さん。この人ほんと可愛いな、てかバカだな子供だな〜と思いながら、こちらまで笑顔になります。
そして少し傷付いたのも事実。「映画会社は金換算だけ、会計士か投資家」との言葉に、これからそれを生業にする私が実は薄っすら心の中で思っていたものを露わにされた。アートをビジネスで考えるということ。絶対面白いから作ろうよ、なんでダメなの?なんて言ってられないんだろうなぁ…と考えると、凹んだ。贅沢な悩みですが。
ただ、本当にものつくりをする前のこのタイミングで観て良かった。恐らく会社に入っても、この作品があればこそ「面白いからつくる」、この原点に帰ってこれると思う。ホドロフスキーの言う、「魂の戦士」として「精神的な深みを持って」ものつくりします。ホド爺さんありがとう!
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