デブチンバラ

トム・アット・ザ・ファームのデブチンバラのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

グザヴィエ・ドラン演じる主人公のトムが出会した状況に陥ったら、誰もが一刻も早く逃げ出すだろう。手足を縛られ監禁されてるわけではないので、逃げ出そうと思えばいつだって逃げ出せると思うのだが。でもトムは逃げ出さない。というか逃げられない。それは、あの高圧的で凶暴なフランシスによって精神的な金縛りにでもあったか、それとも洗脳されたからだろうか。いや、ひょっとしたらトムが自己催眠を掛けているのかもしれない。そんなことを思わせる。だから観ていてゾッとする。最後、トムは自己催眠を解いてフランシスの車に乗って逃げ出すのだが、街へと向かうその道中は解放感があるように思わせながら、なんだかずっとフランシスやその母がいた農場の影がトムにまとわりついているような怖さがある。フランシスが最後に着ていた服の後ろにアメリカ国旗があしらわれ「USA」と書かれているのだが、エンディングで流れるルーファス・ウェインライト の「Going To A Town」の"I’m so tired of America(僕はアメリカにはうんざりだ)"という歌詞と呼応しているのだが、でもなぜアメリカなのだろう?
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