Shelby

白ゆき姫殺人事件のShelbyのレビュー・感想・評価

白ゆき姫殺人事件(2014年製作の映画)
3.7
いやあ恐ろしい。人の記憶ほど曖昧なものは無い。自分の都合の良いことしか言わず、勝手に記憶を捏造する。電話をしてきた里沙子とみっちゃんの証言も若干のズレがあったり。例えば飲み会中風邪気味の三木に大丈夫ですかと声をかけたのは証言の中では里沙子だった。そんなこと言ってくれるのは里沙ちゃんだけだよ、と三木も返す。しかし、みっちゃんの証言の中では自分が声をかけてそんなこと言ってくれるのみっちゃんだけだよ、と言われていた。
後々のシーンで出てくるがどちらもそんな言葉は一切かけていなかった。既に頭の中でいい風に捏造してしまい、それを自分の記憶として人にそのまま伝えてしまう。
こうやってボタンの掛け違いが生まれていくのだなと痛感したワンシーンだった。

これって皆本当のことを言ってるですかね?と問い掛ける染谷将太の一言にもう少し耳を傾けていれば。1番無関係だったはずの記者が首を突っ込んだばかりに事件は大事になっていく。今思えば同僚に踊らされていただけだったんだね。可哀想といえば可哀想だけど、事件を調べるにあたって他人の過去を探っていい理由にはならない。
幼少期のことまで引き合いに出され、偶然が重なってしまっただけなのに。こうやってあることないこと書かれてしまうのが今の世の中なんだろうなあ。
しかもネットで面白いように叩いていたヤツらでさえも、城野が犯人でないと分かった途端味方だよ!なんて。そんな言葉今まで非難され続けていた城野に対して口が裂けても言えない。勝手に非難して勝手に擁護される。変わり身の早さ。こんなこと言ってるいる自分でさえ、そのうちの1人に知らず知らずのうちになっているんだろうな。

事実の改ざんを無意識のうちに行っているから人間って恐ろしい。しかもそれがさも事実であるかのように信じ込んでしまっているから厄介だ。だってそれが自分の中での真実なのだから。
親ですら信じれなくなるような状況の城野に幼少期の親友夕子(通称ダイアナ)がロウソクでここにいるよ、味方だよとサインを送ってくれる。かつて自分がしてもらった時のように。ついつい泣いてしまいました。菜々緒の嫌な女の演技はもうはまり役すぎて怖いレベル。井上真央も地味な特徴がない、けれど純粋で心優しい役も素敵でした。単純に面白かった。
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