ハミングバード

白ゆき姫殺人事件のハミングバードのレビュー・感想・評価

白ゆき姫殺人事件(2014年製作の映画)
4.0
 秦かなえ原作ということで久々に期待していた邦画作品。彼女らしい現代社会の問題をテーマにした内容。昨今のSNSによるデマの拡散という側面を、何故そんなふうになるのかという問いかけ。TV局契約社員、地味な印象、年収150万、国公立大学(ってか国立か公立だろ)、美人、嫌なやつ、暗い、などと言うキーワードが沢山出てくるがネットでは標的となりやすいものなんだろう。人々は嫉妬と復讐の生き物なのだろうか。普通は犯罪までは犯さずにまっとうに気持ちを抑えて生きているつもりが、ネットにはむき出しに発散されやすい。最近の読書や信頼できる他人に相談をしなくなった人々の中には、それらSNSの中味をそのまま鵜呑みにする人間も増えてきている。少数の常識人やそれら書き込みを意図的に流した両サイドの人間から嘲笑されていることに気が付かないのだろうか。この作品のキーマンは、薄給だが国公立大学卒のTV局下請け会社社員や他人の噂やSNSの書き込みを適当に信じて適当にうまく振舞っていたいやはり同じく国公立大卒の田舎の会社OL。この同窓生二人によりSNSデマ誘導事件は引き起こされている。人間のコンプレックスの発散はこの辺りから発生しやすいのだろうか。そんな人間のターゲットにされるのは田舎育ちで幼い頃から地味で世間を知らずに損をし続けて生きてきた人間。ある意味二人は罪を犯すサイドの人間に知らないうちになってしまっている。まぁそれらに反応した人間も同じレベルで同罪だろう。それにしても綾野剛は髭を生やすと薄給下請け会社の風情がとても出ているし、井上真央ちゃんの地味っぷりも凄い演技だなと思う。なんかこの二人のイメージダウンにならないと良いけどね。期待に応えた鑑賞する価値ある作品と思いました。
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