「白ゆき姫殺人事件」
2014年公開のサスペンス映画である。
原作は「告白」の湊かなえ、監督は「アヒルと鴨のコインロッカー」や「ゴールデンスランバー」の中村義洋。
最近、書籍を映画化する中で、文章でしかしえない(映像がないからこそできる)トリックを駆使した作品を映画化することが多い。
そして、いわゆる「映画化不可能」をキャッチコピーに映画を告知する。
すでにそういうのに飽きつつある。
正直この映画もそういう類の映画だと思っていた。(結果的に違っていたのだが)
さて、この映画の特徴というのはある事件の関係者をあらゆる視点から観ているという点にある。
そして、それぞれの視点をすり合わせることで一連の事件の全容を露呈させていく。
まるで、巡回のパトロールが交代時に持ち時間に何があったかを共有するように。
だが、もし仮にひとりが事実を捻じ曲げたらどうなるだろう。
真実を知り得るのは当人しかいない。
なぜなら真実を見たのは当人しかいないのだから。
前後の辻褄さえ合わせてしまえばいい。
断片的な事象にしか興味のない現代のメディアやSNS、ネットニュースをうまく皮肉った人間ドラマである。