あおいことり

蜩ノ記のあおいことりのネタバレレビュー・内容・結末

蜩ノ記(2013年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

1.0±
★演者 0.5
★演技 0.5
★脚本 0.25
★美術 0.5
★評価 0.25

※再鑑賞
原作未読
豪華なキャスティングでどの俳優さんも演技が素晴らしい。薫役を演じられた堀北真希さんがこの作品の粛々とした雰囲気に艶やかさを加えている。食事の作法も神楽を舞うシーンも現代っ子ぽくない佇まいに上品さを感じた。檀野と薫が山門をくぐり階段を昇るときに周りを見回すのも奥ゆかしかった。

オールロケのためCGやセットが不自然でがっかりするような画もなく、フィルム撮影による独特の質感も物語にあっていた。

脚本はあらすじは良いけど、唐突なシーンや伝わり難い箇所があった。例えば、水上と檀野の関係性。同僚だろうが友とは知らなかった。家紋を墨で汚されたと激昂し刃傷沙汰にまで発展させた張本人の水上。彼が馬に乗って檀野に会い友好的な態度を示したので驚いた。また播磨屋と農民が祭で揉めるところ。確執があるのはわかるけど灯と酒で揉めた理由がわからない。わからなくても本筋に問題なかったけど…。
い草を煮て青筵など特産品を作るシーンがさり気なくあったけど小説ではもっと関係があるかも知れないと思った。

些細な事で命や尊厳を奪われてしまう気の抜けない時代。幕府に藩の汚点を知られぬよう忠臣として切腹を命じられ、その汚点が何かと言えば、側室の身分詐称。自分の思い通りにならない、やり切れない日々のなかで唯一の自由は自身の魂を清く貫く事なんて切ないなぁ。

《備忘録》
2023.1.19現在
国内最後のフィルム映画になるとみられる
あおいことり

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