R

FLU 運命の36時間のRのネタバレレビュー・内容・結末

FLU 運命の36時間(2013年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

自宅で。

2013年の韓国の作品。

監督は「アシュラ」のキム・ソンス。

あらすじ

ある日、鳥インフルエンザH5N1の変異ウィルスが猛威をふるい、ウィルスの拡散を防ぐため町が封鎖される。住民たちは感染の恐怖に次第に暴徒と化す中、救急隊員のジグ(チャン・ヒョク「狼たちの墓標」)はひょんなことで出会った医者のイネ(スエ「上流階級」)の娘ミル(パク・ミナ)を救うため奔走する。

U-NEXTにて、前に観た「火山高」の主演チャン・ヒョクの出演作で、そういえばこんなのあったなぁと思い、鑑賞。

うーん、なんかモロモロツッコミたくなる部分はあるけど、まぁまぁよくできた作品でした。

お話はあらすじの通り、今作で巻き起こるパンデミックウィルスは鳥インフルエンザということで、ニュースでは聞いたことがあるけど、実際に感染するとこんなん(発疹と発熱、吐血)になっちゃうのか…怖い。

ただ、それよりも恐ろしいのは杜撰な韓国の管理と防衛対策。今作のウィルスの要因はどうやら密入国?したインドネシアかどっかの移民を運ぶコンテナで拡散しちゃうわけなんだけど、重武装で乗り込んで、そのコンテナを開けて消毒するもコンテナの中でとうに朽ち果てた死屍累々の死体の間からネズミがワラワラと出てきて、てんやわんや!!いや、このネズミがウィルス持ってると思うと恐ろしいよ!!

あと、やっぱコロナ禍を経験した後だと街中でマスクをしていないことから人から人へいとも簡単に空気感染する様は今の感覚だとやっぱちょっとありえないよなぁ…なんて思いながらも実際コロナ禍があけた今だとノーマスクの人も多いし、やっぱマスクって大事だよなぁ。

結局のところ、爆発的に感染が広がっちゃって、今回の舞台である文唐というところを隔離・閉鎖することになるんだけど、ウィルスより何より恐ろしいのが、そこでの感染者の扱い。

初めはあまりの感染者の多さに簡素なキャンプやフェンスで囲う…まぁそれくらいはわかる。ただ、いざ感染がわかると連れて行かれて隔離。死んだり、重篤な患者はシーツで包んで、まるでゴミかなんかのように打ち捨てられる。

で、1番恐ろしかったのが、その死んだ感染者たちをゴミ焼却場みたいなところにまるでクレーンキャッチャーのようにボロボロ落としながら、クレーンで掴んでばら撒き、積まれた死体の山を火炎放射器で焼くという…人間を人間とも思わない、あまりの扱いに愕然としてしまった。え?この国はディストピアかなんかですか?

で、そんな中でチャン・ヒョク演じる救急隊員のジグと医者のイネ、そのイネの娘のミルがなんとか生き残ろうとするんだけど、まぁジグはいいやつ。ちょっと「海猿」じみた威勢のいい感じはありつつも、ちゃんと幼いミルを第一に考えつつ、ちゃんとそれ以外の市井の人々の窮地にも放って置けず助けにいっちゃう漢。ただ、今作のヒロイン、イネがまた問題で娘であるミルの感染が発覚しちゃって、そうなった後、PCR検査を掻い潜って、その事実を隠しちゃう。いや、わかるよお母さんだもん。ただ、やっぱその前に医者でしょーが!!我が子可愛さのあまりの自分勝手さに辟易してしまった。

まぁ、作り手もそれに対しては十分わかっているのか、そのミルがワクチン作成の鍵になるんだけどね。

あとは有名どころだと、韓国きってのクセメン俳優ユ・ヘジン(「スペース・スウィーパーズ」)が先輩救急隊員のコメディリリーフとして相変わらずの三枚目具合を発揮していい感じなんだけど、なんとあのマブリーことマ・ドンソク(「犯罪都市 THE ROUNDUP」)がなんとジグと敵対する政府側の人間として登場している!!いつもの「気は優しくて力持ち」キャラではなく、完全な悪役として立ち回るのですげぇ新鮮だった(ちなみにまだパンプアップする前なのか、割とほっそりしている)。

そんな感じでキャラクター面、特にイネ関連ではかなりモヤモヤが残る作りではあるんだけど、特に終盤にかけてエンタメ度が増してくるし、何より人間クレーンの絶望感と煉獄感を観るだけでも観る価値はある一本。
R

R