アランスミシー

胸騒ぎの恋人のアランスミシーのレビュー・感想・評価

胸騒ぎの恋人(2010年製作の映画)
2.7
タランティーノに影響されてるのだろうけど、スローモーションを用いた緊張感引き出し術を多用しすぎて、どこが重要なシーンなのか曖昧になるし、そうすると内容までが薄く見えて来てしまう。
タランティーノ好きにとってあの歌はもっと面白い、ドキドキする場面で使って欲しかった。
インタビューの時に固定せずに、ズームインアウト、又パンニングを使用しているのが面白いと思った。視聴者を飽きさせない戦術。
デメリットとして、手前のカメラに意識が回ってしまう
女優の演技がなかなかいい。
お互いセックスフレンドがいるのが、当然のような設定になっていた時点でその状況への追求や、本心での恋愛との二項対立が成立してなかった。

彼の映画は、文化祭における出し物の種類で例えると、やる気の無いクラスの出す展示企画に見えてくる。
ジャン・ピエール・ジュネの「アメリ」やその元となる「僕の好きなこと嫌いなこと」に影響されてか、多数のインサートカットやスローモーションの長回し、連続した秒単位の早回しでほとんどが構成されてるが、強さ又は面白さに欠ける。
別にエンタメは要求しないが、何かしらの刺激がなければどうでもいい作品に思えてきてしまう。
流れよりも感情をもっと描いて欲しい。
今はゲイ監督というレッテルで、口先だけの無差別主義者たちや同性愛者たちに受けているだけだと思う。
無差別主義を理解する人間(発育過程、又脳内での論争によって形成された)として、正直に言う。
今は自分の裸を他人に見せられる力を持っただけだ、
裸の王様になっちゃいけない。

何はともあれ最後の10分、いわゆる締めの章は良かった。
彼の発狂の仕方は好き。
彼の若くして手に入れた統率力を尊敬してる。