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胸騒ぎの恋人のplimのレビュー・感想・評価

胸騒ぎの恋人(2010年製作の映画)
4.5
親友が同じ人を好きになってしまう。同性愛があるものの、ストーリーはシンプルだからこそ、サイケデリックな演出が映える。

インタビューを受けているのは、
3人の誰かしらを好きになってしまった人たちだろうか。
それぞれ悩み葛藤しているが、その中心にいるのはニコラ。
しかし、
個人的には主人公がニコラではなく、マリーとフランシスなのが良かった。
多くの人が振り回される側で、
共感出来るし、感情移入出来るからだ。

恋愛経験がある人には分かる、
好きな人が好きなモノをあげたくなる。
好きな人との想い出を口にしたくなる。
好きな人に対して焦ってしゃべり過ぎてしまう。
駆け引きしなきゃと思いながらも、衝動を押さえられなくなる。
それらの感覚を一緒に味わえるし、
自分でさえ、ゲイではないのに、
その気にさせてしまう程のパワーがニコラにはあるし、
役を演じた俳優さんも、
創った監督も凄すぎる。

恋に落ちた時の、
出逢った瞬間のビビビッと来る感覚や、心が踊る感覚、胸が騒ぐ感情など、抽象的な表現を具現化した演出が多く、
一方で、嫉妬心や悲観的な表現はセリフや演技で如実に物語る。
対称的な表現が魅力的で、
恋愛のフワフワした不安定さを写し出した作品。


ニコラの容姿とユーモアと無邪気さ
もはや全てに魅了される。
ニコラも魔性な部分はあるが、
特に悪い訳ではない。
恋愛が、誰も悪人じゃないのに、
こんなにも傷つき、嫉妬を覚え、心をかき乱されるものであり、誰にもそのフラストレーションをぶつけられない胸が騒ぐ感情である事を教えてくれる映画。
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