KentKajitani

それでも夜は明けるのKentKajitaniのネタバレレビュー・内容・結末

それでも夜は明ける(2013年製作の映画)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

黒人奴隷制がまだ色濃く残るアメリカで、北部に住む自由黒人でバイオリニストとしての地位を確立していた主人公が、商売仲間に裏切られて奴隷商人に売られ、南部で12年間黒人として働いた後に生還する実話に基づいた作品。

「夜と霧」を読んだ時並みに絶望的な気分になる質量を持った映画だった。

南部の奴隷生活においては、人間としてのプライドを捨てた方が精神的にも肉体的にも生き残りやすい。実際に、本作ではそのように白人主人の「犬」のように生きる人も描かれるが、あまりに環境が過酷なのでそのような彼らを責める気は一切おきない。

最後には主人公は北部から旅をしてきた白人(ここでブラピ登場)の助けで、北部の自分の家に帰還することができるわけだが、「最後まで希望を捨てないことが大切」なんて陳腐な言葉ではおよそ消化できず、150年前の人間社会の理不尽さにただただ絶句する。
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