そりっどあいぼりー

それでも夜は明けるのそりっどあいぼりーのネタバレレビュー・内容・結末

それでも夜は明ける(2013年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

アメリカの黒歴史である奴隷について真正面から描いた本作が、アカデミー賞作品賞を取ること自体が素晴らしい。自分たちが他の人種の人々を差別し、痛めつけていた歴史を描いた映画を評価することがどれほど凄いことか。

映画自体の内容だが、実はかなりのエンターテイメント要素を含んでおり、辛さだけで構成される作品にもかかわらず最後まで飽きることもない(特に、奴隷のまま死んだ老人を弔うためにゴスペルを歌う中盤のシーンや首吊りのシーンは映画的な白眉のシーンだ)。それでいてこれだけ残酷な制度の現実や価値観を突きつけられるのだから、より万人がこの制度の悪辣さを知る良い機会になるだろう。

しかし、「それでも夜は明ける」という邦題は如何なものか。本当に夜は明けたのだろうか。主人公は解放されたかもしれないが、別れ際に奴隷たちがソロモンを見る目はどうだっただろうか。お別れに、彼に手を振って返してくれた人はいただろうか。あの時点では決して夜は明けていない。

だからこそエンディングの「流れよ、うなるヨルダン川よ」が心に突き刺さるのではないだろうか。