空衣

それでも夜は明けるの空衣のレビュー・感想・評価

それでも夜は明ける(2013年製作の映画)
3.6
血走る目、震える声、ぐちゃぐちゃに引き裂かれた背中。拉致され奴隷となり生還したソロモンの手記。
ってことは、そのまま身も心も殺された黒人が圧倒的だったという事実。ソロモンは助かったけど、そうならなかった他の奴隷たちの目が、彼を見送りながら何より語ってくる。

「バカな白人が賢い黒人をいじめる」図は、客観的に見てしまうならば非常に滑稽で皮肉が効いている。黒人女性を相手にするときなんて、「シモの世話」まで蔑んでいる奴隷にさせているわけでしょ。恥を知れ。

で、これでは白人-黒人がメインだったわけだが、いかなる構造にも適応できる。奴隷制度反対の白人-賛成の白人、クソ上司-従順を強いられる部下、女性蔑視する男性-女性、人間-AI......。あらゆる場面で蔓延している権力構造だからこそ、近しさを感じた。
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