自由黒人の身分で北部に暮らしていたソロモンがある日突然奴隷として売られ強制労働させられた12年間の日々を描いた実話。
名ばかりの自由黒人という権利。80年代の奴隷制度の現実。目を背けてしまいたくなる場面も多くて気が滅入ってしまう。差別的な作品を見るたびに問う人間の本質。
時代が、大多数がそれを良しとしてしまえば人間はいとも簡単に罪の意識を失ってしまう。奴隷制度も戦争と変わらない。自由も尊厳も奪われ知らない土地で屈辱的な仕打ちを受け続けた人たちにとって奴隷制度の廃止は大手を振って喜べるような勝利ではなかったのではないかと思う。だからこそ現代に至っても差別的な歴史がもたらした闇は深い。
あの女の子は、あのプランテーションにいた人々は…ソロモンが去った後どうなったんだろう。予想できるからこそ、悔しさと悲しさが込み上げて『待って』と呼び止める言葉が辛かった。