Yuri

大統領の執事の涙のYuriのレビュー・感想・評価

大統領の執事の涙(2013年製作の映画)
3.5
アメリカの事件と大統領が何をしたかは世界史レベルくらいしか知らないので、セシルを通して見る黒人の歴史と大統領がどう動いたかが、とても感情移入出来る形でわかりやすく描かれていて素晴らしかったです。セシルは寛容と忍耐を深く持ち併せている男性で、「大統領の執事の涙」とありますが、セシルが涙を見せる場面はそう多くはありません。でも、フォレスト・ウィテカーの演技を観ていて耐えて働く父親の姿が辛くて。心の中の涙という意味もあったのだなと感じました。そして、黒人解放や平等を謳いながらも、ホワイトハウスではセシルが退職するギリギリまで黒人執事は昇級することも、給料も平等には貰えなかったという事実に、アメリカの裏と表の顔を見てしまった気がしました。セシルがそれでも耐え続けたのは執事だという以前に、一言言おうとしただけで殺されてしまった自身の父親の姿があったからだと、幼い頃から続く虐待の歴史が残すトラウマも深く感じました。オバマが大統領になっても、決してハッピーエンドにはならないのだなとこの歴史を生んだ人々の罪が色濃く残る作品でした。それに、あんなに華々しくオバマが大統領として活躍した数年後に、全く逆の考え方のトランプが大統領になるアメリカってやっぱり変だし、良く言えばフリーダムだけど、考え方に一貫性がないので怖い国です。
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