みみみれい

ダラス・バイヤーズクラブのみみみれいのレビュー・感想・評価

ダラス・バイヤーズクラブ(2013年製作の映画)
5.0

LGBTが扱われている映画ということで見始めたのですが、それ以上に発見がたくさんありました。

序盤で「人間いつか死ぬ」と言っていたロンのHIV発覚後の「まだ死ぬ準備ができていない」という発言。人間誰しも死ぬことはわかっているし、当たり前なのに目の前に死があらわれると一変してしまう。「人間いつか死ぬ」なんて言っていられる自分を大切にしなければならないと思いました。

そして、FDI。私たちはそういう公共機関に対して疑いを持たずに生活しがちな気がします。オフィシャルなら大丈夫、だとか非公式はダメとか、色々言えるけれどロンから教わったのは「根拠は?」と言える勇気です。それは間違っていると言えることが世界を変えるんだ、そう気づかされました。

またこの映画の序盤のLGBTとHIVへの差別は非常に心苦しかったです。偏見やこれまた根拠のない認識が彼らを苦しめる。最初偏見を持っていたロンがホモセクシュアルの人々とコミュニケーションをとるうちにだんだんと偏見が薄れていく様子も、特にスーパーマーケットのシーンには現れているなと思いました。

総じて言えるこの作品のメッセージは「自分の考えに疑いをもち、認識を変えよう」ということだと思います。余生をどう過ごそうではなくどうやったら生きられるか。そういうポジティブな考えに心を動かされる素敵な映画でした。