EDDIE

ダラス・バイヤーズクラブのEDDIEのレビュー・感想・評価

ダラス・バイヤーズクラブ(2013年製作の映画)
4.0
マシュー・マコノヒーの覚悟の役作りと熱演に目を奪われる。HIVに感染しどんどん弱りながらも決して病気に屈服しない男の生き様を余すことなく表現。

本作はマシュー・マコノヒーが第86回アカデミー賞主演男優賞受賞、ジャレッド・レトが同賞助演男優賞受賞というダブル受賞に輝いた作品。その他さまざまな映画賞に輝いた傑作ですが、恥ずかしながら初鑑賞でした。
実話を基にしている作品なだけに、こんな現実があったんだという驚きと共に、同様にHIVに感染し苦しむ人々のことを考えるきっかけとなるので、観ておいて損はない作品。

この作品で学べることといえば、HIVが性交渉以外でも感染の可能性があるというもの。本作の主人公ロン・ウッドルーフは大の女好きで、ゲイではありません。作品の中でも出てきますが、「俺はゲイじゃない!」とかHIVに感染したってだけでゲイ呼ばわりされるわけです。これが世間の認識。実際には異性との性交渉でも感染する可能性があり、また薬物の過剰摂取も要因になりうるということ。
さらにウッドルーフは余命30日の中で幾多の苦難に立ち向かいながら、人間として心の成長を見せます。
それを後押しするのが前述したジャレッド・レト演じるレイヨン、そしてジェニファー・ガーナー演じる女医のイブです。

最初は自分の病気のことすらも信じることができず、医者にも横暴な態度をとるウッドルーフでしたが、彼の態度にも恐れることなく毅然とした態度で意見してくるイブに惹かれていき、さらに信頼していくわけですね。
そして、レイヨンはウッドルーフ同様にHIV感染者でイブの患者でした。ただゲイであるレイヨンを見て、はじめは蔑んでいたウッドルーフでしたが、「ダラスバイヤーズクラブ(通称DBC)を立ち上げてから、互いのことを知っていく中で信頼感で結ばれ、打ち解けていくんですね。
実話を基にしているとはいえ、この3人の物語としてヒューマンドラマとしてもかなり上質な作品だと感じました。

さて、さらに本作のテーマの中で知っておきたいのは政府公認の治療薬AZTの効果の是非。物語の本質として、世の中で当たり前のように出回っている商品が必ずしも良いものであるとは限らないということ。
特にこのAZTは臨床試験が開始されたばかりでした。しかし、アメリカでは他のエイズに効果の出ている治療薬は未承認であるが故に使えなかったのです。
だから、ウッドルーフはメキシコにまで身分を偽り治療薬を仕入れに行き、同じようにHIVに感染し困っている患者たちに治療薬を分け与えるわけです。
もちろん彼の人間性から鑑み、最初はあくまで商売の一環でした。金がなければ売れない。そうやって感染者でも会員費が支払えなければ門前払いにしていました。
そんな彼の心の変わりようを見ていくのも本作の一つの楽しみ方ではないでしょうか。

とにかく本作出演にあたって減量に減量を重ねたマシュー・マコノヒーの役者魂に拍手を送りたいですね。
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