デニロ

ビッグ・ヒート/復讐は俺に任せろのデニロのレビュー・感想・評価

3.5
90分の作品なんだけど、情報量の多い物語を実にスピーディに紡いでいって、しかも飽きさせない。

警官が地方検事宛の遺書を残して自殺する。その妻バーサはその遺書を手に取り、とあるところに電話する。まずひとりの女性を際立たせる。電話を受けた男ラガーナは部下ヴィンスに電話を掛ける。その電話を受けるのがヴィンスの情婦デビ―。落ち着きのない早口でキンキンと喋りまくりヴィンスを辟易させる。細い線が何本か切れた感じだけど感じのいい女デビーをここで印象付ける。自殺した警官の家を事情聴取で訪れる主人公デイブ(グレン・フォード)。泣き濡れたバーサの話を神妙に聞いている。デイブが自宅に戻ると妻ケイティと幼い娘が明るく迎える。夕食はこれよ、とケイティはオーブンからおっきなステーキを取り出す。おお、とデイブは大喜びして切り分けているが、これからはおチビちゃんにお金がかかるから、ステーキは今日で最後よ、なんて笑えないジョークを言う。デイブを愛し明るく聡明に家庭を切り盛りしているおかみさんを印象付ける。そんな団欒の最中同僚から電話が入る。警官は自殺じゃないと言っている女ルーシーがいる、と。ルーシーの待つバーに出向くと、彼とは彼の持つ別荘で知り合い付き合い始めた。彼は奥さんと別れてわたしと一緒になるはずだったのよ。自殺なんかするわけない。

そうしてデイブはルーシーの証言をもとに、バーサ、デビ―の間を行ったり来たりして事の真相を探るのだが、そんな彼の行動を警察幹部が規制する。それを軽くいなして捜査を進めていると何者かが彼の車に仕掛けをして、彼の代わりにエンジンをかけたケイティが爆死してしまう。警察幹部の取ってつけたようなお悔みに暗黒街とのつながりを感じたデイブは幹部と衝突し、じゃあバッジを返せ、となり辞職することになる。

ここからデビ―(グロリア・グラハム)やヴィンス(リー・マービン)が絡んできて見せ場たっぷりになっていくのですけれど、とにかく女性4人の印象付けが素晴らしくて見惚れてしまうのです。ラスト。デビ―がデイブに、ケイティのことを教えて、とせがむシーンは涙ものです。

1953年製作。原作ウィリアム・P・マッギヴァーン。脚色シドニー・ボーム。監督フリッツ・ラング(63歳)。

K's cinema 奇想天外映画祭2023 にて
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