はるかわ

そこのみにて光輝くのはるかわのレビュー・感想・評価

そこのみにて光輝く(2013年製作の映画)
4.5
達夫と拓児のいちゃつきが良い。
知り合ってすぐ拓児は達夫を好きになる。家に連れて行ったのは、ご馳走したかっただけでなく、多分、姉に会わせたかったのだと思う。もしかしたら、家に縛られる自分たちの状況に変化をもたらしてくれる存在と直感したのかもしれない。

池脇千鶴の怪演。
顔、声、身体。実在感。
「運送会社の事務職もやったけど1か月もたなかった 居場所がなかった」という台詞が非常に印象的。その言葉を聞くまで「家族のために体を売って稼がざるを得ないかわいそうな状況」と勝手に分かった気になっていたけど、そういう単純な理解を拒否する強さがある。型にはめて理解できるわけがない、生きている人間なんだから。池脇千鶴の目に、自分の高慢さを見透かされたような感覚を味わい、恥じ入った。

中島はちょっと嫌なやつすぎる。
もう少し中島なりの葛藤ってないのかな。
「家族を大事にしてるから、おかしくなる」って何? それだけ言われても嫌悪感しかないわ。ストーカー、強迫、強制性交で捕まってくれ。

この町と家を出ることが姉弟が唯一うまくいく方法で、2人ともそれを完璧に理解している。それなのに、最後の展開。千夏と達夫の絶望を朝焼けの海が包む。台詞のない海辺のラストは本当にすごい。

作品全体で、人物の全身が収まるような引きの画角が効いてる。達夫を叩いて追い返す千夏や「山行く前にお墓参り行こう」のシーン。表情や傷に寄りすぎないカメラワークが作品に優しさと実在感を与えている。
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