きのぐらす

アバウト・タイム 愛おしい時間についてのきのぐらすのレビュー・感想・評価

3.7


最初は、高校生の時に観たんだっけ。
映画館でね。

あれから9年の時を経て、作品への印象は変わった。

観る年代によって感想が変わることは当たり前にある。公開当時は17歳、なんて素晴らしいラブストーリーなんだとロマンチックな余韻に浸っていたっけ。エンドロールで涙も流していた。


今はもう、久しぶりに観てもこの映画で涙を流すことはなくなった。感性が劣化したわけではない。経験を重ね知識を蓄え、人として成長した証そのものだと思う。そう思いたい。登場人物たちの心情も、今はあの頃よりずっと理解ができる。

そのうえで、やっぱり主人公はずるいなあ、と、釈然としないし。パートナーに一生嘘をつき続けるのも受け入れがたい。
ラブはおまけで、この映画はそもそもファミリーものなんだ、父と息子のお話なんだ。そう捉えるとこの作品への愛は育つかな。

今はもう手放しでは感動できないこの作品も、観る側に一貫したテーマを投げかけてくるところは、多くの価値を享受している。

この映画における"雨"は重要な意味を成す。雨こそ不可逆の世界だ。
大事な結婚式で突然の雨!それも豪雨。ティムがメアリーに「結婚式が雨で残念?」と聞く。彼女は「いいえ、最高だったわ。人生だって、晴れの日もあれば雨の日ある。」と答える。

メアリーの屈託のない笑顔から、幸福感が伝わってくる。ティムは過去に戻る能力を使い、雨の降らない日に、日取りを変えることはしなかった。

雨をこんなにポジティブに表現する映画は、ショーシャンクの空に、以来?

再鑑賞した今、作品への印象はだいぶ変わったけれど、やっぱり17歳の時と同じく高評価をつけたいな。作品が与えてくれたテーマ、現実の人々にエールを送るメッセージは誠実そのものだと思うから。


セピア色の映像が美しかった。そういえば挿入曲はほとんどわたしのプレイリストに入っている。

完璧な幸せを手に入れようとは、もう思わないよ。取り繕うこともしない。

私たちの人生も同じ、いろんな天気があるのだから、楽しもうじゃないか。


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人は誰もが時間を旅している
人生という時間を
今を精一杯生きて
素晴らしい日々を噛み締めよう

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