鹿江光

アバウト・タイム 愛おしい時間についての鹿江光のレビュー・感想・評価

3.5
≪70点≫:今日という1日が愛おしい。
人生は「選択」の連続だ。何かを得れば、何かを失う。2通りの今日を生きることはできない。ただ、我々はそんな当たり前のことに気付きにくい。今日という「1日」がどれだけかけがえのないものか、どれだけ愛おしい時間であるのかを、我々はつい忘れがちになる。
人生における出会いと誕生、家族や恋人との愛を、ちょこっとのSFファンタジーを織り交ぜて展開している。素敵なBGMを使いながら登場人物たちの関係性も演出していて、観ているこっちもドキドキと胸が高鳴るような親近感が湧く。
ふと気付けば、主人公と同じような恋心を抱き、家族を持つことの幸福の一片を味わい、親の存在の大切さを知る。
それもこれも、すべて「今日という1日」があったから実感できたことだ。1日の中にはたくさんの発見とドラマがあって、どこかの店員の笑顔みたいな何気ない景色だとしても、小さくも素晴らしい出来事に気付くことで、人生の愛おしさを知ることになる。
劇中で言った父の言葉が印象的だ。「我々は最終的に皆似通ってくる。だから、どうか優しい人と結婚しなさい」
何気ない時間の中にこそ、幸せはある。そんなことを想いながら人生を全うできれば、どれだけ素晴らしいことだろうか。
この作品には、いろんな愛が詰まっている。
鹿江光

鹿江光