OASIS

アバウト・タイム 愛おしい時間についてのOASISのレビュー・感想・評価

3.6
イギリス南西部に住む青年が、21歳の誕生日に父からタイムトラベル能力があることを知らされ、その力を使いながら恋人や家族の存在について考えていくという話。
監督は「ラブ・アクチュアリー」等のリチャード・カーティス。

ラブストーリー+タイムトラベルと言えば「バタフライ・エフェクト」や「ミスター・ノーバディ」タイムループものと言えば「恋はデジャ・ブ」と、何かにつけて「人生やり直したい」という想いを体現した映画がある。
そんなにやり直したい事あるだろうか?と考えてみると、進路を決定する時に違う選択肢にすれば良かっただとか、人生の岐路に関係するものから「今の言葉はちょっと言い過ぎたかな」という一瞬の判断ミスや、マズい店を選んでしまった時の後悔等、それこそ数えたらキリが無い。
主人公の父の様に、読書に膨大な時間を費やしてもっと知識を増やしたいと思うのももちろんだ。

主人公は自分に自信の無い青年で、まずは初恋の女性と結ばれる為に能力を使うが振り回されるばかりで、何度繰り返し為に所で恋愛のテクニックを学ばなければ駄目だという事を知らされる。
そして都会へとやってきて、友人に誘われて行った先のレストランで一目惚れしたメアリーと恋に落ちるが、おじさんの手伝いに力を使ってしまい彼女との出会いが無かった事になる。
レストランでの暗闇の中の会話といい、ここら辺の「運命の出会い」演出は凝っていて、SEXの時にブラジャーを取る際の童貞臭い感じとワイルドさのギャップも良かった。
これはもう奥手な男にとっては羨ましすぎる秘密兵器だ。

レイチェル・マクアダムスの自分の意見を押し通さず一歩引く姿勢にはかなり惹かれる部分があって、結婚式の準備を進めるにあたっての服を一枚脱いでいく下りとかは、かなりドキドキさせられるものがあった。
あぁいう風にからかいつつも真剣に取り組んでくれる所、凄く良いです。
メアリーも良いんだけど、個人的には妹のキットカットの方が特に印象に残っていて、彼女のほっとけない感じとかかなり好き。
そりゃ助けたくもなるし、身内じゃなくても力を使いたくなると思う。

ただ、タイムトラベルを題材とする上でどうしても気になる部分もあって、おじさんの手伝いをしてレストランで別れてしまう場面を始めとする「もっと長いスパンで考えろよ!」という特に制約が無い故の細か過ぎる能力の使い方や、手を繋ぐと女性でもタイムトラベルが出来てしまうという矛盾、父との思い出と子を天秤にかける苦渋の決断には疑問もあった。
こればかりは子供が居ないのでなんとも言えないが、子供の数によって幸せの量が変化するわけでもないと思うし、二人でも十分大変だろうに・・・。
ビル・ナイ演じる父との卓球や海岸の散歩は涙を誘ったのだけど。

こんな能力があったら色んな人と遊びたい放題じゃん!と考えている内はまだまだ結婚は遠いが、妻や子供という大切な存在が出来て同じ時を歩み続けるのも悪くはないな、と感じる映画だった。

大切な人とではなく一人で・・・一人で!(ここ重要)観たのが残念でしたが、いつかそんな存在が現れた時にはもう一度観直したいと思います。

@大阪ステーションシネマ
OASIS

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