千年女優

ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅の千年女優のレビュー・感想・評価

4.0
懸賞金詐欺の通知を信じて100万ドルをネブラスカ州リンカーンへ受け取りに行こうとする口数少ない老人ウディ。口うるさい妻らの家族に止められるも、彼女を失い傷心の次男デヴィッドが付き添うことを決意し、怪我のために道中立ち寄った故郷で親戚やかつての友人との再会で複雑な感情を抱きながら進む旅路を描くロードムービーです。

同様に「人生の限界に直面した人物たちが旅路の中で得る気付き」を描いた『サイドウェイ』に続くアレクサンダー・ペイン監督のロードムービーで、懸賞金詐欺を信じての旅路というコメディ設定をモノクロ映像でリアリティラインを保ちがなら描いており、カンヌ映画祭でのパルム・ドール受賞を始め多くの映画賞にノミネートされました。

テーマとロードムービーの相性が良いことは『サイドウェイ』でも証明されていますが、シニカルとコミカルのバランスが研ぎ澄まされていて、欠点だらけの登場人物を描くが故にともすれば皮肉が過ぎ独善や嫌悪感を感じさせてしまうところを抑えて、笑わせながらも愛すべき人物として彩っている、ほんのりと気品をも感じさせる一作です。
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