全編モノクローム
年老いた父と次男の3000キロの旅
ハイウェイ、プレーリー、畑、サインボード…モンタナ、サウスダコタ、ネブラスカの荒涼といっていい景色
アメリカのひとつの原風景
憧れるけれども日本人の自分がそこに立つことは違うと思わせるくらいのザ・アメリカ
出身地であるネブラスカへの監督アレクサンダーペインの優しい眼差しを感じる
そういえば「アバウトシュミット」にもネブラスカが登場する
次男の車は4気筒のスバル
彼の店にはONKYOのロゴも
これが次男のキャラクターの肉づけとなっている気がする
目的地のリンカーン、ネブラスカが州になる前はランカスターと呼ばれていた
件のスバルはレガシーアウトバックで、日本でのサブネームはランカスター
車種選びがこれを意図していたかどうかはさておき、クスリと笑える
「アバウトシュミット」もそうだけれど、「サイドウェイ」「ファミリーツリー」とアレクサンダーペインの作品は登場人物が感情を一瞬隆起させる瞬間はありつつ、実直で一見さらっとして押しつけがましくないのがいい(それだけ作品の良し悪しは俳優の力量にかかってくるわけだけれど、この作品は成功している)
この作品もかなり毒が仕込まれているけれど結果的にほんわかというか…
しばしばインサートされるザ・アメリカなノスタルジックなサインボードに旅愁を覚える(アルファベットが抜け落ちてたり…老いた父と重ねて見せてくるあたりがたまらない)
時間を重ねるにつれ深まっていく次男の父への思いを目の当たりにして、実家の両親を想った
「サイドウェイ」をいっしょに観に行ったあの子は今ごろどうしてるかなー、とか
あと、あれだ…この映画でもいわゆるキャップをハットと呼んでた…ハットは帽子の総称てのが今のアメリカの普通なのかな?
ここ3本くらい立て続けにキャップがハットと呼ばれていた
日本の英語教育、なんとかならないかなー、という事を考えさせてくれるのが洋画のよさでもある
ん?違うか…キャップをキャップと呼ぶクラス、ハットと呼ぶクラスがあるということ?
アメリカ人が観れば分かるのかな?などなどモヤモヤの洋画あるある(精神衛生上は邦画がいいなー)