ゆるい。ゆるくて大好き。（笑）１人で何もできなかった子供が、いずれは親に追いつき、そして追い越していく。子供にとって、親が年老いていく事など想像がつかず、いつまでも甘えてしまうものである。
100万ドルが当たったというインチキDMを受け取り喜ぶ父親につきあい、モンタナからネブラスカ州まで二人で旅するロードムービー。２人のいきあたりばったりの旅の中で浮き彫りになる、かつての父親の歴史や、親戚同士の人間関係。じわりじわりと、寄り添っていく父親と息子の絶妙な距離感に、じんわり涙がでてくる温かいヒューマン・ドラマ。
主人公の父親と息子デビットの関係の描き方のみならず、母親、兄、叔父・叔母、従兄弟、父親のかつての親友など、まわりを取り囲む人々のキャラクターや小競り合いの描き方がリアル。
絶妙な間のかけあいに、何度もクスっと笑ってしまった。
父親役のブルース・ダーンの雰囲気が上手かった！表情の捉え方、見せ方、歩き方やしぐさなど、監督の細やかな演出表現のタッチが温かく、そしてリアリティにあふれている。「SIDEWAYS」の監督だったのか。あの作品もゆるくてじわっとくる良作だった。（笑）
まるで作り物のフィクションとは思えないほどの、生々しい人間関係が、「あるある。こういうのあるだろうな」と感情移入させられてしまう。
全編モノクロのやさしいグレーの濃淡が、それなりの大人の心に染み渡っていくような作品。
