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ローン・サバイバーのkojikojiのレビュー・感想・評価

ローン・サバイバー(2013年製作の映画)
4.0
2013年作 アメリカ映画 監督ピーターバーグ

 アメリカ国民はこれをどういう風に受け止めるのだろう。監督は自国民に対してどう言いたいのだろう。
1.アメリカの兵士はこうして勇敢に戦っている。
2.アフガンの人たちは勇敢にタリバンと戦っている。
3.戦争とはこんなに過酷なものだ。だから、戦争はやめるべきだ。
4.ただ真実を見せたい。
こんな単純な話なのか?

 「2000年に及ぶパシュトゥーンの掟により、アフガンの村人たちはマーカスを助けた。勇敢な村人は今日もタリバンと戦っている亅と最後に字幕がでる。果たして、タリバンは極悪非道の単なる敵でアフガンの人たちを助けるアメリカは正義なのか?そういうストーリーを監督は下敷きにして、この物語を作っているならそれはちょっと違うと思ってしまう。同じ人間である以上、単純にそうなるはずがない。タリバンにも言い分があるだろう。(報道を見る限り、この考え方は取りづらく、タリバンは相当に不利だけど。まぁちょっとそれは横においといて…)
人間は単なる欲だけで戦争ができるのか?貧しくて生きるのがやっとなのに、他の一部の人間だけが楽をして、虫唾がはしるぐらいに裕福だから、搾取されることに我慢が出来なくて争いを起こすのではないか?こうした実話の戦争映画になると、誰が良くて誰が悪いという風に単純に映画だからと見ることはできない。しかもこの監督の映画は極めてリアルで、(他の作品も同じ、リアリティがすごい)自分が主人公になってしまい、どんどん追い詰められるので、そんなことを考えてしまうのは当然で、最後は結局、持論に行き着いてしまうのです。

 最後に実際の兵士達の写真と配役が並べて映し出される。家族が見れば泣くだろう。が、これは英雄の話なんかであってはいけないし、死んだ兵士達を讃える映画と思いたくない。
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