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シンデレラのEruMiのレビュー・感想・評価

シンデレラ(2015年製作の映画)
4.0
これは1人の人間の内面の物語で、シンデレラは「それでも」他人を信頼する善き人であろうとする理想の象徴ですから、もし「こんな良い子いる訳ないでしょ!」なんて文句を付けたい人がいるならそれは完全な的外れです。そしてシンデレラの対極にいる負の感情の象徴である継母役のケイトブランシェット、この物語においてむしろシンデレラより重要な役であることを役者も制作者もよく理解しています。役柄は嫉妬と憎悪と哀しみの象徴ですが、広い意味ではこの映画の全てを母親のように包み込む包容力のある演技を見事にこなしていると思いました。そして物語終盤にシンデレラが発する、継母と、そして自らの負の感情を打ち破る最も効果的な、強く優しい言葉。人の内にある勇気と優しさこそが本当の魔法なのだという明確なメッセージがこのセリフに込められています。最後に継母たちが酷い目にあいザマーミロや、私たちが間違っていましたごめんなさいでは駄目なのです。全ての要素がいい塩梅で、気持ちの良い夢を見せてもらい大変満足です。実はアナと雪の女王の短編からずっと泣いてました。ヘレナボナムカーターの妖精以外は文句の付けようがない。妙に気持ち悪いトカゲのお付きの者が60年代のミュージカル映画ぽくて良く、そんな気持ち悪いチョイ役にも気の利いたセリフを言わせる辺りも大変好感が持てます。
あと吹替えがとても良く、シンデレラの声がとても可愛い。ちょっと抜けが悪く角のない声質と話し方で、役柄のイメージととても合ってます。
大変よく効くお薬です。
もう一度観に行ってしまうかもしれない。
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