OASIS

メアリーと秘密の王国のOASISのレビュー・感想・評価

メアリーと秘密の王国(2013年製作の映画)
3.8
神秘的な森で研究を続ける父親の元を訪れた少女メアリーが、其処で緑を守る軍勢リーフマンと森の腐敗を企む軍勢ボーガンとの戦いに巻き込まれていくという話。
「アイス・エイジ」のブルースカイ・スタジオが贈るCGアニメーション。

のっけからハチドリに乗った小人リーフマンとカラスに乗った小人ボーガンとのスピード感あるバトルが展開されて、つかみはバッチリ。
母を亡くした少女メアリーと父親のストーリーと「生命のつぼみ」を守ろうとするリーフマンの女王がピンチに陥いるまでが同時進行し、メアリーと女王が出会う所から冒険がスタートする。
とりわけ、女王が儀式を行う際に歩く水面の表現、敵の軍勢から逃走する場面のワラワラ感や疾走感は素晴らしかった。

はみ出しものの青年ネッドとのロマンスやネバネバした粘液を撒き散らすナメクジコンビとの緩いやりとりもありつつ、小人達と次第に打ち解けていくメアリー。
CGで作られた女の子の造形は、メアリーがやや大人びているというせいもあるのか、可愛らしさよりも女性らしさの部分が強調されているように思った。
日本人で言うと綾瀬はるかのような、幼い顔立ちの中に性的なニュアンスを含んだ微妙な頃合いの女の子を見事に表現していた。

父親の研究室に潜入するシークエンスは「借りぐらしのアリエッティ」っぽいシチュエーションで楽しいし、敵のアジトへの侵入などでローニン隊長の格好良さも見せつけて、確実に冒険感が高まって行く展開も良い。
「アリエッティ」にもこれくらいのアドベンチャー色とワクワク感があればもっと傑作になっていただろうとは思う。

クライマックスではメアリーの父親が大活躍をするが、そこで今作で描かれているテーマがはっきりとする。
何かに打ち込んでいる人はそれだけで素晴らしいが、近くに存在する者ほど意外とそれに気付かなかったりするのだという事。
メアリー自身が小さな存在になったからこそそれが見え、また、文字通り父親を「大きい存在」として認識する事が出来た。
そして父親も、普段は目の隅に居る存在でしかなかった我が子を改めてその目で発見する事が出来たという、父娘の物語でもあった。

メアリーが最初から最後まで地味なパーカーを着たままなのでヒロインらしい華やかさが欠けていたのは残念だったので、リーフマンの衣装を試着するシーンとか、そういうのがあっても良かったと思う。
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