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パージのbucciaのレビュー・感想・評価

パージ(2013年製作の映画)
2.8
1年に1度の12時間だけ、殺人を含む全犯罪が合法となる「パージ法」をテーマとした人気シリーズの1作目。「パージ法」というかなりぶっとんだ設定に対し、ストーリーは意外と普通でした。全米を巻き込んだ恐ろしい法律なのに、今作では舞台がある裕福な地区のサンディン家を中心としたごく小規模な中での展開にちょっぴり拍子抜け。 でも、そうしたミニマムな世界に焦点を当てたことから、逆にサスペンス・スリラーとして面白味がでたのかもしれません。世界が拡がっていくとどうしても展開が豪快にそして大雑把になってしまうから、ハラハラドキドキ好きとしてはシリーズを通してこの1作目が一番好きです。

とはいっても、サンディン一家全員バカすぎて終始イライラ。長男はパージの日に素性の分からない追われている男を同情だけで自宅に招き入れるわ(そうしないとストーリーが始まらないのはわかるんだけど) 長女は彼氏が死んで混乱しているとはいえ、侵入してきた男が屋敷内に潜んでいるのに一人で屋敷内を放浪、あげくの果てにその男に捕まり人質になるわ、妻は拳銃をもっているのに役立たずの戦力外(でも、素手での攻撃力は高い) 夫はどんなに長女の彼氏や暴徒から拳銃で撃たれてもかすり傷さえも負わない回避率と確実に相手を撃ち殺す命中率(ちなみに夫は普通の会社員です)なのに、あっさりサバイバルナイフでやられ昇天。もうハラハラドキドキするよりもイライラしっぱなしの90分。ツッコミが好きな人にはオススメの映画です。

このパージ・シリーズの魅力といえば、シリーズを通して過激さが増していく暴徒化した仮面の男女たち。ストーリーは二の次でこうした仮面の暴徒たちの悪行や成敗されるのを観るのが面白いのです。今作はシリーズ1作目ということで、他のシリーズに比べ見た目や過激さは控えめですが、それでも異彩を放つ魅力的なキャラが存在。それはリース・ウェイクフィールド演じる暴徒集団のリーダー、とにかく笑顔が不気味で彼の顔芸だけを見るだけでも満足、完全に主役のイーサン・ホークを喰ってましたね。ただ、ラスボス的位置なのになんのひねりもなくあっけなくやられちゃったのはもったいない。ターミネーター並に執拗にサンディン一家を追い詰めてほしかった。
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