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ドストエフスキーと愛に生きるのzer0ne0のレビュー・感想・評価

5.0
川越スカラ座ドイツ映画祭2017。渋谷哲也さんのトーク付き。
翻訳者のドキュメンタリーで、その作品の字幕を作った方のお話を聞けるなんて、素敵なクリスマスイブだった。作品への愛着をすごく感じた。
翻訳は玉ねぎを剥いていくようなもので、剥いていくと、結局最後には精神的な自分自身が出てくるというお話、とてもよかった。翻訳や字幕は、新しいものを創造するクリエイティブなものだと言うのが伝わった。
難しい話や、「象を五頭分背負って生きる」など高尚な言葉が出てくるドキュメンタリーだと思うが、わからなくもない、「翻訳」を理解する手がかりとなる、とてもいい映画だった。

翻訳の話とかよりも、ストラヴェーナさんの世界という感じで存在感がすごかった。
ストラヴェーナさんはウクライナ人で、実際はロシアからもドイツからも外にいる人間であって、自分は「where=どこか」にいる人間、オリジナルがないと言う。深みのある言葉だと思う。
ドストエフスキー論も頷けるものだった。
「人間の本質とは、自由を求めることであって、そのための理由を作り出す」
自分の内面に迫ってくるシーンもところどころあり、また観たいと思う。

ちなみに、ドイツでの「罪と罰」のタイトルは、「犯罪と償い」らしい。ハッとした。
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