Omizu

ニシノユキヒコの恋と冒険のOmizuのレビュー・感想・評価

ニシノユキヒコの恋と冒険(2014年製作の映画)
3.8
【2014年キネマ旬報日本映画ベストテン 第10位】
『人のセックスを笑うな』井口奈巳監督が川上弘美の連作短編小説を映画化した作品。出演は竹野内豊、本田翼、尾野真千子など。

面白かった。井口監督の作品は初めてだが、ウェルメイドな人間喜劇として非常によく出来ている。

竹野内豊演じるニシノユキヒコがモテてしょうがない、という映画。生と死、そして性をめぐる対話として見応えがある。

牧歌的な音楽や映像も心地いい。それでいて「死」という要素が貫かれている。死んだユキヒコが霊になって現われるという突飛な設定なのにムリを感じない。

どんな人生を歩もうと人は結局死ぬ。そんなことを思ったりした。生の有限性というのかな。ユキヒコのように適当に生きていても死は容赦なく訪れる。

個人的には性までは発生しない阿川佐和子がよかった。『エゴイスト』でも素晴らしい演技をみせていたが本作でも秀逸。ユキヒコとサユリの関係性がリアルで最高。本田翼もキャリアベストじゃないかな。

人間喜劇として気軽にみられるし、意外と深い領域にまで達する作品だった。他の監督作品は観ていないが、この語り口は好きかも。井口監督、お見事!
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