うどん権

GODZILLA ゴジラのうどん権のレビュー・感想・評価

GODZILLA ゴジラ(2014年製作の映画)
3.3
時に1998年、初めて日本国外でゴジラが製作されたわけですが、出てきたのはゴジラとは名ばかりの巨大イグアナでファン激おこ(一応興行収入は好成績、ゴジラ映画ではなく一つのモンスターパニック映画と思えば楽しい作品です)。

あれから16年。海外で再びゴジラが蘇ってくれた!しかも今回は軍隊の攻撃を物ともしない難攻不落の要塞、口から熱線を吐きあらゆるものを破壊する大怪獣という、本家ゴジラの特徴を受け継いだデザインになっていて一安心。こいつはマグロなんか食ってませんわ。ちょっとメタボ気味なのが気になるけど、そこは好みの範疇か。

CGも今の時代ともなれば安っぽさは一切なく、海を泳ぎ、街を闊歩するシーンや怪獣バトルは流石の迫力。口移しビーム大好き。

でも誉めるのはここまでで、残念ながらすごく不満も多い作品でした。(※以下ネタバレあり)


画面が暗すぎるところとか、人間側の作戦がグダグダ過ぎるところとか、父親が早々に退場して以降は人間ドラマが退屈なところとか、怪獣バトルをじらしてくるところとか、ムートーは不気味ではあるけど見た目が弱そうで魅力に欠けるところとか(ry

そして一番許せないのが、反核のテーマがゆがんでしまっていること。原発事故ネタの導入やヒロシマに対しての言及など、反核的なメッセージを発信する一方で、米ソの核実験に対しては「実はゴジラを倒すためだった」と逆に正当化してしまってるんですよ。そしてゴジラも傲慢な人間共にお仕置きはせず、ムートーを倒したら都合よく去っていく。挙句の果てには救世主扱い…正直これに対しては、エメゴジ以上の怒りが…これが核保有国が作るゴジラの限界なのだろうか…
ゴジラというキャラクター自体、日本でも様々な変遷をたどってきたものなので、一概にどれが間違いとは言えないんですけど、本作は少なくとも僕の目線では違和感が半端なかった。ヒーローゴジラを全否定はしませんけど、核問題について触れているならせめて今作だけでも人類にお仕置きをしてやってもよかったのではないかな。リブートゴジラ1作目なんだから、ムートーは出さずにゴジラ一体にしっかりフォーカスして、「愚かな人間が目覚めさせてしまった破壊神」としてのゴジラをしっかり描いて欲しかった。他の怪獣を出すのは2作目からでも遅くはなかったと思います。

続編のゴジラKOMは怪獣プロレスの方に力を入れてくれているようなので、贅沢な製作費でもって最高のバトルを見せてほしいです。海外ゴジラは中途半端にメッセージ性を絡めたりせず、バトルメインにしてしまう方が正解かもしれない。近々見に行きます。
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