かずシネマ

いなべのかずシネマのレビュー・感想・評価

いなべ(2013年製作の映画)
3.4
各国の映画祭参加企画の「We Are One」にて鑑賞。

吉本興業の製作だという事しか前情報がない状態で観たのだが。
いなべ市が舞台なので作品タイトルが「いなべ」…という認識で宜しいか。

オチは読めるけど、綺麗にまとめてあった。自分は好き。
この演出と雰囲気は長編でなく短編だからこそ良いと思ったのかもな。

不可思議で少々の不穏な雰囲気と、哲学まではいかないまでも悶々と色々な事を考えて来たのであろう姉ちゃんの台詞と、何かに引っ掛かりを持たせる様な細々とした演出が良かった。
この手の話では、(あの状態になった)じいちゃんやばあちゃんの役割ってのはある程度のパターンは決まっていて、この作品の場合も例に漏れなかったが、それでもばあちゃんの歌は何かせつなかったなぁ。。
照明をわざと暗くしてハッキリと映さないままだったけれど、母ちゃんはどんな表情だったのだろう……。

笑い飯の2人とヒミコサマー!の球蹴りのシーンはシュール過ぎるし、「いや長いわw」とも思ったけど。
子供から急に大人に戻った様な怖さを感じた。いや、せつないのか。
時間はあっという間に過ぎるって事なのかも。
でも、なんか…子供の頃に遊んだ後、現地でそのまま解散する時ってああいう雰囲気だったかもしれん。ぇえーい!

創作物での少々複雑な家庭の描写といえば、グレさせたり、メンタルを弱らせたりするのが定番ではあるが。
実際って、あの妹ちゃんの様にあっけらかんとしていたり、姉ちゃんの様に逞しかったり(他人からはそう見えるだけ)、弟の様にあんまり深く考えない様にして受け入れていたり。
自分の周りを見ていると、この作品であった様な場合も多いと感じる。

単純に「ご当地映画」として観たら、街の魅力は十分には伝わってこない。
あくまで舞台になっているというだけだと感じた。
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