公開目前にして事故で亡くなってしまったポール・ウォーカーが製作総指揮かつ主演もこなしたスリラー映画。
日本版パッケージがだいぶ詐欺で拳銃を構えたポールのうしろで雷鳴轟きビルは崩れあちこちで爆発が起きているスケールのデカそうな大作アクション/パニック感を放つ仕上がりになっている…
実情は大型ハリケーンが発生して洪水を誘発しパニックで皆が避難する中、産まれたばかりで呼吸器が外せない我が子のため独り停電した病院で救助を待つポール演じる父親の奮闘を描いたこじんまりとした作品であり、かなり少ない(大半はポールの一人芝居に近い)キャストやハリケーンや洪水等の災害シーンがほとんど描かれずほぼ病院の中だけで撮影されている点などからけっこう低予算系の映画かと思われる。
ツッコミどころもやや目立つが、娘の出産と引き換えに妻を亡くして素直に我が子を愛せなかった父親が刻々と悪くなる状況の中徐々に娘を愛せるようになる過程が見事に描かれており、緊迫感のあるシチュエーションとポールの演技に引きつけられあっという間に終わってしまった。彼の魅力が詰まった作品だと思う。
「君を知らない」から「君を知ってる」へのくだりや満身創痍で亡き妻に語りかけるシーンは思わず涙。。
繰り返すが緊迫感も多分にもった作品だが派手なアクションやディザスタームービーでは決して無いのでそこはご注意を。
小粒な作品だが緩急のついた脚本やポールの見応えある演技を味わえたので個人的にはけっこう楽しんだ。
お目当てのひとつだったベンジャミン・ウォルフィッシュのスコアはまだ近年ほど尖っておらず比較的手堅い作りだが安定して出来はいい。次は『プレッシャー』あたりを観てみようかな。
